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保有株式の売却は
事前準備が鍵
M&Aの世界、特に事業承継対策や子会社の売買の際には、株式譲渡の手法がとられるケースが多いです。オーナーや親会社が保有する株式を買い手に売ることで、新しい株主に経営権を移転させるということです。会社の株式を売買するだけ、というシンプルさと、企業価値が毀損されにくい点が好まれている理由です。
ただし、買い手にとっては債務や訴訟リスクなどの可能性も一緒に承継されてしまうというデメリットがあります。ですから、株式譲渡によるM&Aの際には、売り手は事前に買い手側が敬遠しそうなマイナス要素を改善しておき、できるだけ取り除くよう、早くから準備することをおすすめいたします。
株式譲渡のメリット・デメリット
例えば、事業承継を考えた場合、一般的には経営者一族が所有する株式を売却しますので、売り手側である個人株主に譲渡益税が課税されます。譲渡税は金額の多寡にかかわらず一律約20%と低率なので、税金面では売り手にメリットが大きい、と言われています。
以下、株式譲渡の売り手・買い手へのメリットおよびデメリットとなります。
売り手側のメリット
- 株主が個人の場合、譲渡益に対する税率が低い(約20%)
- 株主が個人として現金収入を得ることができる
- 消費税等の課税対象にならない
- 株主が変わるだけで対外的な影響は少ない(取引先との契約(※)、許認可、従業員との雇用関係など)
※チェンジオブコントロールがある場合は除く - 株式譲渡契約のみで役所等への手続きが必要ない
売り手側のデメリット
- 大きなものはない
- 一般的に買い手から表明保証を求められることが多い。表明保証をする以上、簿外債務などのトラブルを隠して不誠実な売却を行った場合、後々大きな問題になる
買い手側のメリット
- 手続きが簡便
- 株主が個人として現金収入を得ることができる
- 利害関係が複雑化しない(他に新たな株主が発生しないので)
買い手側のデメリット
- 事業譲渡のようには会社にひも付く簿外債務等リスクを遮断できない。会社として
- 少数株主との買収交渉が必要となる場合がある
当社からのアドバイス
保有株式の売却は、中堅・中小企業を対象としたM&Aでは最もポピュラーな手法なので、当社でも事業承継、子会社売却、事業再編など、様々なケースにおいてお客様にアドバイスいたしております。
売り手側の企業あるいは企業オーナー様には、「簡便な手法だからこそ、きっちりとした事前準備が必要」ということで、以下のようなアドバイスを行っています。
- 決算書をはじめとした財務関連資料、規定類、契約書類はしっかり整備しておく
- 誠実に資料開示を行う姿勢が大切
- 会社の発展や従業員にとって有益な相手先を選定する
- 自社の強みを認識し、売却前に磨いておく
- 買い手候補に嘘をつかない
- 選択と集中は不可欠
- M&Aを決意しても売上が下がらないように経営に集中する
- 現経営者が引継ぎ等で一定期間関与することを、買い手から求められると念頭に置いておく
- 希望条件を明確にしておく
売り主が気にすべき4つのポイント
保有株式の譲渡を行う場合、売り主としてはどのようなことを心がければ良いでしょうか。
1事業承継計画・方針と適合していますか?
まずは、目的を明確化することです。イグジット条件が適っているか、会社の発展や従業員のことも重視しながら総合的に勘案していく必要があります。
2適切なアドバイザーを選定していますか?
アドバイザーを価格だけで判断しないようにしましょう。一口でM&Aアドバイザーと言っても、できることが異なることもあります。また、仲介ではなくアドバイザーを選択し、可能な限り相対ではなく、入札又は入札近似形式を選択しましょう。
3戦略的に買い手候補を検討していますか?
対象会社について事前調査・準備をしておくべきなのは当然でしょう。
更に、例えば、ストラテジックバイヤーに売る、ファイナンシャルバイヤーを買い主候補に含める、シナジーに関わらず、未上場の買収意欲旺盛な企業を買い主候補に含める、潜在買い主とのシナジーや可能性を売り主が決めつけないといった、幅広な検討を行うべきでしょう。
4売却価格は適切ですか?
まずは株式価値分析を参考にすることになりますが、株式価値分析に過度に依存せず、市場評価を確認することです。可能であれば同時期における複数以上の買い主候補の評価を参考することが望ましいです。仮に買い手候補から手が上がらない場合は、その事実自体が市場評価であると、冷静に受け止めることも必要です。