廃業か事業承継かで悩んだら?後継者不足にM&Aという可能性

人口減少や価値観の多様化が進む現在、主に中小規模の経営者が後継者問題に直面せざるを得ない状況にあります。2016年に帝国データバンクが行った調査では、国内にある中小企業の6割以上の経営者が後継者不在に悩んでいることが報告され、その深刻さが見て取れます。

そんななか、後継者問題を解決する手段としてM&Aが注目されています。今回は後継者問題の現状に加え、廃業とM&Aについて解説していきます。

後継者問題が深刻視される現在

従来では事業承継の方法として、子息や親戚に事業を譲る「親族内承継」と社員や役員に引き継ぎを任せる「親族外承継」が一般的に行われていました。しかし、人口の減少や価値観の多様化などの社会的要因による影響を受け、これら2つの方法が困難になっています。

2018年時点で、少子高齢化社会の深刻さが問題になっていますが、さらに進み、2050年では国内の人口は1億人を下回ると予想されています。人口が減少しては中小企業の存続は難しく、オーナーの後継者問題の深刻化はさらに加速していくでしょう。また、一昔前なら子供が親の事業を継ぐことが多かったのですが、現在では「子供には好きな道を歩ませたい」「親と同じ道を進むことを強いられたくない」などお互いの価値観の変化が生まれたため、特に親族内承継の動きは弱まっています。

親族内承継と親族外承継の限界

国内ではもっともメジャーな事業承継法であった親族内承継には、「周囲からの理解を得やすい」「早いうちから後継者教育を始められる」などのメリットがありますが、「中小企業の生き残りが今後難しくなる」「血縁上で近い距離にいても、後継者としての意思と能力が備わっていないケースが少なくない」などの理由から、可能性に限界を感じるオーナーが増えています。対して親族外承継には「優秀な社員にバトンタッチできる」「企業理念をしっかりと理解してもらえる」などのメリットがあるものの、「株式の引き継ぎができるだけの資産を、後継者候補が持っていない」「個人保証の引き継ぎが難航する」などの問題点があることは否定できません。このような背景から、現在では事業承継が経営者の思い通りにいかなくなり、廃業かM&Aかどちらかを選択するケースが多くなっています。

最後の手段として考えたい廃業

親族内承継も親族外承継も選択できない状態にある場合は、廃業という手段もあります。会社を清算し、創業者利益を残せるというメリットがあるため、どうしても解決策がない場合には選択肢のひとつと言えるでしょう。

デメリットも多い廃業

今まで続けていた事業を清算する廃業は、これまで作り上げた業績や会社を失うという精神的な打撃がありますが、後継者問題に対処する手段のひとつでしょう。その一方で数々のデメリットがあり、時にはリスクを伴うことも知っておく必要があります。

  • 従業員の働き口がなくなる
  • 潤沢な創業者利益を残せる可能性が低いケースもある
  • 廃業時にコストがかかる

会社を廃業・清算することは従業員の職場が失われることにつながるため、従業員から不信感を抱かれる結果となり得るでしょう。創業者利益も経営者側が期待するほど受け取れないケースも多く、廃業時に法手続きや設備処分の費用、退職金などのコストがかかり、結果的に残される利益が大幅に減ることも避けられません。こうして考えると、廃業は後継者問題をどうしても解決できない場合の最後の手段として考え、可能な限りほかの解決策を探すほうがよいと言えます。

後継者問題の打開策として注目されるM&A

親族内承継・親族外承継などの方法が難航し、廃業を選ばざるを得ない経営者が少なくないなか、新しい方法としてM&Aで後継者問題を解決できると注目を集めています。企業同士で買収・合併を進めることで、企業としての安定した存続が可能になるため、廃業前に検討する手段としては非常に有効です。

売り手企業だけでなく買い手企業にもメリットが多い

売り手企業と買い手企業で経営権の譲渡をおこなうM&A。「後継者問題の解決」「創業者利益の獲得」「従業員の雇用維持」など、主に売り手企業側にメリットが多いように思われますが、譲渡される買い手企業にも多くのメリットをもたらします。

  • 新規事業への参画
  • 事業の多角化
  • ブランド力の向上

など、見込みある企業の買収・合併をおこなうことで、上のようなシナジー効果を得られるためです。売り手企業を救済できるだけでなく買い手企業の今後の繁栄にも役立つM&Aは、まさに一石二鳥の手段と言っても過言ではないでしょう。最近では売り手企業と買い手企業を結ぶM&Aアドバイザリーを専門とする企業も増え、より強固なネットワークと情報量を提供しているため、後継者問題に悩んでいるのならぜひ相談してみるといいでしょう。

廃業前にほかの手段を考えることで、問題解決がスムーズに

親族内承継・親族外承継が難しくなるなか、廃業を選ぶ前にM&Aを検討すると問題解決が可能になります。自社を継続させられるだけでなく、買い手企業のメリットにもつながるM&A。企業同士はもちろん社会全体に大きく貢献する手段として、可能性が広がる事業承継方法のひとつだと言えます。

関連記事