M&A事例

人を残す「教育」に携わっていくために M&Aで実現

譲渡企業

会社名:かえでIRアドバイザリー株式会社
業種 :IR翻訳
所在地:東京都千代田区
代表取締役社長  寺﨑 徹哉 様

譲受企業

会社名:Sansan株式会社

創業の経緯についてお聞かせください。

私のキャリアを含めてご紹介いたしますと、大学卒業後、経理・財務の実務家として15年キャリアを積み、その後経理・財務教育の世界に入り20年に渡り教育・研修プログラムの設計や教材執筆に従事しました。2008年に独立後、「合同会社財務翻訳研究所」を設立し、日英バイリンガルの金融翻訳者としての活動をする中で、2020年1月より「かえでグループ」のメンバーファームに参画し、その後、社名を「かえでIRアドバイザリー株式会社」に変更しました。

事業承継(M&A)を検討したきっかけについて教えてください。

一言でお伝えすると「現状打破」です。今まで一人で経営してきましたが、先々を考えると、良いパートナーをみつけて経営をお任せし、私にしかできないことに時間を使っていきたいと考えるようになりました。また、当社の経理を担当してくれている妻に対して、趣味や自分自身のことに時間を費やしたほうがよいのではという思いもありました。事業承継を検討し始めたときは、当社のような会社に良いお相手が見つかるのかと懐疑的でしたが、まずは行動を起こそうと思ったことがきっかけです。

NECキャピタルソリューションを選んだ理由

当社事業は繁閑の差が激しく、今でも繁忙期は私も実務を担当しています。閑散期に複数のM&A業者の方とお会いしました。NECキャピタルソリューションさんもそのうちの1社です。その後繁忙期に入り、M&Aを躊躇する期間がありました。業務が多忙でせっかくご連絡をいただいても返信できない状態でしたし、当時の利益水準からは希望する譲渡対価が得られるとは思えませんでした。しっかりと利益を計上してからの方が相手も検討しやすいのではないかとも考えていました。しかし、他社同様に返信できていなかったNECキャピタルソリューションさんからタイミングよく再度ご連絡をいただいたことで、気にしてもらえていると感じ、NECキャピタルソリューションさんと一緒にやってみようと思いました。本当にご縁があったと思います。

実際にM&Aを進める中での弊社の対応はいかがでしたか。

まず自分で行うことが少ないことに驚きました。比較検討していた他社からは当社の強みや課題などの質問事項をExcelに入力して回答することを求められましたが、NECキャピタルソリューションさんは初回面談で話した内容を含めて資料作成などの対応をいただけました。やらなければならないことが多いと日々忙しい中で進まないので、その点、負荷が少ないのは良かったです。
資料作成やバリュエーションなどの分析に関しては、短期間で作成し、M&Aのプロならではの視点で相手先にアプローチしていただきました。
また、担当者の方については、報告・連絡・相談のタイミングが完璧だと思いました。報告・連絡・相談は早すぎても遅すぎてもよくありませんが、こちらの都合を考慮し、タイミングの見極めて上手に行っていただけたと思います。

M&Aについて動き出してからクロージングまでを振り返るといかがでしたでしょうか。

お相手様探しのときに、NECキャピタルソリューションさんが候補先企業をリストアップし複数の企業に同時並行でアプローチいただきました。M&Aのプロセスを実際やったことがなくイメージも湧いていませんでしたが、複数の選択肢を提供してくれたNECキャピタルソリューションさんに感謝しています。
また良かった点としては、複数の候補先とお話しさせていただく中で、当社を評価していただけたことは私自身の自信にもつながりました。自社の客観的な評価が聞ける機会はあまりありませんので、社員にもIR業界という狭い業界ではありますが一定のプレゼンスがあり、プライドを持って仕事をおこなうよう伝えることができたのは印象的でした。

お相手(買手)を選ばれたポイントについてお聞かせください。

候補先には同業種の企業もいらっしゃいました。同業であればM&A実行後のイメージがつきやすいとも考えていた中で、Sansan様は想定外でしたが、シナジーが見込めると思いました。当社は製造業に例えれば生産機能に強みをもつ組織であることからサービスや品質に自信がありますが、営業力には課題を抱えていました。一方、Sansanグループは優れた営業力をお持ちの企業様でもございますので、良いパートナーシップが構築できると感じました。

今後の展望についてお聞かせください。

M&A実行後に譲受企業の皆様とお会いして、当社に期待してくださっているのをひしひしと感じました。当社が一員に加わることで、新しい機能として大きな変化をもたらしていけるのか今後が楽しみです。営業については譲受企業にノウハウがあるため、当社は安心して供給能力を向上させるとともに高品質の成果物をお客様に提供できるよう社員のスキルアップや、教育に力を入れたいと考えています。
また、将来的には教育に関することに注力したいと思っています。「人を残す人生こそが上なり」という言葉がありますが、私も教育によって人を残したいと考えています。ゆくゆくは自社の従業員や外注先である翻訳者だけでなく他社にも教育をおこなっていけるようになれればと考えています。

これからM&Aを検討される経営者の方へメッセージをお願いします。

検討する理由は様々あり、やらない理由もいくらでも出てきますが、決断をするのは経営者にしかできません。M&Aの決断をするにはプロを入れなければいけないと断言できます。価値を客観的に見てもらうことが必要です。一人で悩んでないでまずは誰かに相談することを強くお勧めします。
ちなみに私は数社のM&A業者の方としかお会いしていません。M&A業者をシステマチックに比較検討して選定したわけではなく、直感でこの人とであれば仕事ができると思いお願いしました。人と人との縁を大事にすることが大切だと思います。
最後に、僭越ながら悩んでいる経営者の方にメッセージを送ります。あなたの会社はあなたが考える以上に価値があると思ってください。それを実現するのがM&Aです。



M&Aアドバイザリー担当者より

かえでIRアドバイザリー様はIR資料の英文開示支援事業を展開する企業様で、今回創業者である寺﨑様はプロフェッショナルの一人として英文開示支援業務に専念したいという思いから、経営を任せられる企業様への譲渡をご決断されました。 寺﨑様が抱えていた課題を解決するお手伝いができたことを非常にうれしく思います。余談ですが、本プロジェクト完了後の会食の場で、「君は人生の恩人だ」とご評価いただいたことでお役に立てて良かったと感じました。ご両社様の今後の益々のご発展を祈念しております。