EBITDAマージンとは何か?役割と重要性を解説

EBITDAマージンとは何か?役割と重要性を解説

EBITDAを企業評価に使用する場合の一つの指標に、EBITDA マージンがあります。

EBITDAマージンを計算することにより、その企業が生み出すキャッシュフローが売上高に対してどれくらいあるかが分かります。EBITDAマージンという指標を使うことにより、異なる企業や事業の収益性を比較することができます。場合によっては、国を超えた同業種の企業の比較も可能になります。ここでは、EBITDAマージンとは何かを解説し、計算方法や有用性についても見ていきます。

EBITDAマージンとは?その意味と計算方法

EBITDAは企業活動によって生み出されるキャッシュフローの一種ですが、企業分析をする場合、単純にその金額を計算するだけでなく、そのマージンについて考察することもよく行われます。ここでは、EBITDAマージンについて見ていきましょう。

EBITDAマージンの定義と計算方法

EBITDAマージンとは、売上高に占めるEBITDAの割合であり、以下の式で表されます。

EBITDAマージン =  EBITDA  ÷  売上高

すなわち、EBITDAを売上高で割った比率となります。

これは、売上からどれくらいの比率のEBITDAを生み出すことができるかを示す指標であり、通常はパーセントで表します。

これが大きいほど、収益性が高いということになります。

EBITDAマージンの計算例

EBITDAマージンについて、実際に数字を使用して計算してみましょう。

以下の4社を例にとります。

A社、B社は食品製造会社、C社、D社はサービス業とします。

比較しやすいように、すべて売上高は同じとします。

売上高は同じでも、EBITDAマージンは各社で異なっています。

 

社名

業種

売上高

営業利益

EBITDA

EBITDAマージン

A社

食品

100

10

15

15%

B社

食品

100

15

20

20%

C社

サービス

100

18

20

20%

D社

サービス

100

20

25

25%

 

 

同業種のA社とB社を比較すると、A社のEBITDAマージンが15%であるのに対し、B社は20%です。B社のEBITDAマージンが高いので、事業の効率が良いことが分かります。となれば、利益が同じであったとしても、EBITDAマージンで比較した場合、M&Aにおける企業評価が違ってくることもあります。もちろん、事業の効率が良いほうが一般的に高い価値になります。同業のC社とD社を比較してみると、EBITDAマージンはC社が20%、D社が25%ということで、D社のほうがより効率的な事業運営ができていることになります。一方、B社とC社を比較すると、営業利益はC社のほうが大きいですが、業種の違いか、減価償却が違うため、EBITDAマージンでみると、同水準と考えられます。すなわち、事業の効率はほぼ同等と考えられます。ただ、たとえ売上が同じでEBITDAマージンが同じであったとしても、業種の差があるため、B社とC社の企業価値が必ずしも同じになるとは限りません。B社のEBITDAマージンは業界水準で、C社のEBITDAマージンは業界水準より劣っているというようなケースもよくあります。業種が違えば、平均的なEBITDAマージンも異なるからです。

EBITDAマージンと経年比較

EBITDAマージンは、同じ企業の経年推移をみるのにも適しています。先ほどの例で使用したA社に再度登場してもらいましょう。

A社の5年間の業績は以下のように推移しました。単純計算のため、売上高は不変であったと仮定します。

社名

年度

売上高

営業利益

EBITDA

EBITDAマージン

A社

1

100

10

15

15%

 

2

100

2

15

15%

 

3

100

5

15

15%

 

4

100

8

15

15%

 

5

100

10

17

17%

A社について、経年比較してみましょう。営業利益を見ると、初年度は10出ていたのに、翌年の営業利益は2にまで落ち込んでいます。その後、営業利益は徐々に回復していきます。そして5年目で、初年度と営業利益が同じになりました。これだけを見ると、投資した資金そのものが効率化させたのかもしれません。A社は2年目に大きく利益を下降させたものの、その後は毎年改善し、利益率も上がっていき、5年目で元の利益率を回復しています。すなわち、落ち込んだ利益を経営努力によって毎年回復させ、5年かかって元の水準に戻した、というように見えます。しかし、これをEBITDAマージンで見ると、話は全く変わってきます。当初の4年間、EBITDAマージンは不変ですので、事業の効率は特に変わっていなかったことになります。では、なぜ営業利益が変化していたのかというと、これは減価償却費の影響だったのです。設備投資を行った結果、減価償却が大きくなったとしても、事業からあがってくるキャッシュフローは特に変化がなかったのです。とすれば、A社の状況は、「毎年経営改善を続けて利益水準を向上してきた」という評価ではなく、「設備投資のせいで4年間は利益を低くおさえられていたが、5年目になって、設備投資の減価償却が終わりEBITDAマージンは向上し、事業経営が効率的になった」という評価になります。初年度と5年目を比較すると、営業利益ベースは同じでもEBITDAマージンは改善しています。これはもしかすると設備投資の結果、事業効率が改善されたからなのかもしれません。

EBITDAマージンを使用する理由

なぜ、EBITDAマージンを使用するのでしょうか? それは、営業利益とEBITDAの違いを理解すれば、おのずと明らかになります。

営業利益は減価償却費を勘案しているため、設備投資額の大小が金額に影響を与えます。そのため、売上高に占める営業利益の比率を計算する場合、設備投資の大きな年度では、生み出されるキャッシュフローにかかわらず、低く抑えられてしまうケースが多くなります。

一方、EBITDAマージンはキャッシュフローの比率を見るため、減価償却の大小の影響を受けません。

設備投資の金額が大きい年度には、その結果として、減価償却費が多額になり、営業利益とキャッシュフローの間に大きな乖離が生じることがあります。減価償却費は現金の支出を伴わない費用項目だからです。また、減価償却費は、会社が採用する会計基準(定額法か定率法か、償却年数をどうするかなど)によって異なることもあります。

極論を言えば、まったく同じ内容の企業二社があったとして、減価償却の方法を定率法にするか定額法にするかによって、利益率がまったく違ってしまいます。こうした場合には、EBITDAマージンのほうが企業の収益性を適切に評価しやすいのです。そのため、EBITDAおよびEBITDAマージンは、設備投資が巨額になる企業などで本業の収益性をみる指標としてよく使われます。設備投資が大きな額になる企業では、設備投資計画によって影響される営業利益だけでなく、実際に事業からもたらされる現金を示すEBITDAを重視することも多くみられます。指標の特徴を理解して使用していくことが重要です。

まとめ

企業の収益性を測る際に、EBITDAマージンは一つの指標として有用です。一般的に、EBITDAが高いほど事業の効率が良い、ということができます。

特に減価償却費が大きな企業の場合にはEBITDAマージンを勘案することで、より適切にM&Aや事業評価を行うことが可能になります。たとえ売上高が大きくても、EBITDAマージンが低い企業は事業効率が良いとは言えません。また経年変化を見る際にも、EBITDAマージンを計算することによって、より実状に合った評価をすることができます。利益が変化していたとしても、その原因が設備投資による減価償却費の変化であって、EBITDAマージンを見ると事業の効率が変わっていないケースもあるわけです。もちろん、EBITDAマージンだけを見て企業の評価をすることはできません。あくまで一つの有用な指標であるということを念頭において使用してください。

※EBITDAをより全体的に知りたいという方は、以下の記事をご一読ください。

初心者にもわかるEBITDA 完全解説

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