企業成長を狙うためのシナジー効果とは?その利用の仕方と注意点

企業成長を狙うためのシナジー効果とは?その利用の仕方と注意点

ビジネスのグローバル化が進み、消費者のニーズや消費行動が多様化するなか、企業は生き残りをかけてさまざまな戦略を打ち出しています。競合他社から一歩抜きん出るためには、他社がまだ手がけていない技術や手を出していない市場に目を向けた事業展開が求められます。ただ、そうした事業展開を自社だけで成功させるためには、膨大なコストとリスクに対する覚悟が求められます。そのため、業種の異なる複数の企業が連携、または統合し、互いの強みを生かして新規事業を始めることが増えています。こうしたことから得られるシナジー効果とは、どのようなものなのか。本稿では具体的なシナジー効果を参考に考えてみましょう。

シナジー効果とは

シナジー効果とは、2つ以上の要素を組み合わせることで、生まれる相乗効果を意味します。ビジネスにおいては異なる強みを持つ複数の企業が、協力関係を築き、互いのブランド力、技術力、ノウハウを活用し合うことで、メリットを得ること指します。

例えば、ドラッグストア内に銀行が支店を出すケースはシナジー効果を期待した一例です。銀行は支店を出すためのコスト削減が期待できますし、ドラッグストアも顧客の利便性を高めることで来店者の増加が望めます。同じように、ガソリンスタンドとカフェが共同出店するケースでは、ガソリンスタンドは顧客満足度やリピート率を高めることへの期待が持てますし、カフェにとっても顧客獲得への期待が高まると言えるでしょう。

具体的なシナジー効果

シナジー効果を期待して2社以上の企業が協働関係を築くとき、具体的にどのような効果が得られるでしょうか。

  • 事業におけるシナジー効果

事業におけるシナジー効果とは、事業推進に関わる効果を意味します。「ノウハウや人材の活用」、「コスト削減」、「スケールメリット」などが考えられます。

・ノウハウや人材の活用効果としては、互いのノウハウを融合させることで付加価値が生まれる可能性があります。また、それぞれの企業の人材が共通の経営資源として活かされれば、より適切な人員配置が促進され、人材の持つ能力を十分に発揮できる環境が期待できます。

・コスト削減効果としては、複数の企業が協力関係を築き事業を展開することで、互いの企業で同じ業務を担う部門を統合・整理したり、重複している投資を削減したりすることでコスト削減が可能になります。さらに、同様のものを個別に仕入れていたのを、大量仕入れに切り替えることで価格の見直しができる場合もあります。

・スケールメリット効果として考えられるのは、例えば、複数の企業が合同で生産を行うことで1回の生産量を増やすことができるということです。その場合、1製品にかかる経費を削減できるので、純利益の増加が期待できます。

  • 財務におけるシナジー効果

財務におけるシナジー効果は、「節税効果」と「余剰資金の活用」が考えられます。

節税効果としては、債務の引き継ぎ、グループ法人税制などによって、個別に事業をするよりも節税できることがあります。また、余剰資金の活用では、企画力や技術力はあるけれど資金が不足している企業と、資金には余裕があるけれど投資先がない企業による協働関係が成立することで、投資の最適化が図れるでしょう。

  • 組織におけるシナジー効果

複数の企業が協働関係を築くことで、互いの長所を生かした組織づくりが可能となり、従業員のモチベーション向上が期待できます。また、新たなメンバーとのプロジェクトや協働の機会が増えることでイノベーションの可能性も高まり、生産性の向上にもつなげることができます。

シナジー効果を得る方法

シナジー効果を得るために行われる4つの方法があります。

M&A

企業同士の合併や、ある企業が別の企業を買収するM&Aもひとつの方法です。M&Aによって自社になかった技術やノウハウを獲得できます。また優秀な人材確保の可能性も高く、経営資源の増強を図ることにもなります。

グループ一体経営

グループ一体経営というのは、複数のグループ会社を持つ企業が、共通の業務を一本化することでコストを削減し、経営のスリム化を目指すことを言います。スケールメリットを得やすいほか、共通のニーズを持っている顧客対応の強化も可能になります。

多角化戦略

多角化戦略というのは、企業の主力事業とは別に事業展開をして、企業全体の売り上げ向上や収益増加を目指すものです。

業務提携

資本の異動を伴わない提携方式で、企業同士が協働して事業を行うものです。互いに資金、人材、技術といった経営資源を提供し合い、事業競争力の強化を目指します。

シナジー効果の注意点

シナジー効果を期待して協働関係を築いても、社風が合わないケースもあります。円滑な協働体制を構築するまでには、さまざまな努力を要することも考えられます。努力の末、全てにおいて互いにシナジー効果を得られる環境が整うとは限りません。気を付けておくべき点を2つ確認しておきましょう。

組織の疲弊

複数の企業が協働関係を築くわけですから、組織の再編にはかなりの労力が求められます。例えば、意思決定権を持つ人材を選ぶ際に、その条件について互いに折衝を重ね、さまざまなケース、将来的な可能性などを慎重に検討することになります。また、組織再編後に十分なシナジー効果を得るために、従業員が納得できる環境を整えなければなりません。こうしたことを十分に考慮して進めないと、従業員が再編後の組織で人事に不満を感じ、意欲が持てなくなる可能性もあり、結果的に組織全体の活力がなくなることにもなりかねません。

企業同士が協働関係を結ぶタイミング、方法を事前に十分に検討しながら進めることが重要でしょう。

人材の流出

企業にはそれぞれの文化・風土があります。企業同士が協働関係を結ぶことで人材の交流が生まれ、シナジー効果が期待できる一方で、従来の企業文化・風土に変化が生じることになります。従来の企業文化・風土に親しみ、愛着を持っていた従業員にとっては、働く魅力が下がってしまうかもしれません。その結果、モチベーションが維持できず、離職者を生み出す可能性が出てきます。

まとめ:シナジー効果を最大限生かすには、自社の強みを分析し、弱点を理解することが重要

シナジー効果を得るための協働体制の構築には、あらかじめ自社の強みや弱点を客観的に評価し、理解しておくことが重要です。そして協働関係を結ぶ相手企業についても把握しておきましょう。自社と相手企業のどういった点が協働に値するのか、また、期待できる効果はどういったものか、協働関係を結んだ後の組織はどのようなものになるかなど、できる限り詳細に、慎重に検討しておくことが必要です。

検討と同時に、従業員に対して将来的な展望、組織、就労環境などに理解を得るための十分な説明を行います。従業員は自社の文化・風土、ビジョンに共感し、ここで自分の力を発揮したいと考え入社した人たちです。その意思を尊重し、さらに能力を生かせる環境が構築できるよう、十分な考慮が必要になります。

複数の企業が協働関係を結び、互いの強みを生かして事業の成長、市場の拡大を目指すことは、とても魅力的な戦略です。しかし、従業員の意思や自社の強みや弱点を客観視することを省いて成功はないのです。

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